クラスSlackを作った

クラスLINEってだいたいどこにでもありますよね。そこで連絡事項が流れたり,質問が飛んだり。んで,今回はLINEグループの代わりにSlackワークスペースを作りました,という記事です。

うちのクラスSlackは決して成功したモデルではないと思うんですが,私が開発した個々の機能自体は別に悪い子じゃないと思うので,成功した方々がぜひこの記事を参考にしてより良いワークスペースにすることができたらとても嬉しいです。

botソースコードを公開しているので,良ければ利用してください。

github.com

作った理由

サークル2つ入ったら2つとも部員間のコミュニケーションにSlackを使っていて,便利そうだなーと思いました。クラスでは駒場祭やオリ合宿などいろいろなイベントが同時に進行していくので,チャンネルを分けて話題が流れないようにできるととても嬉しいです。あと,「駒場祭グル作りました!参加する人は個チャください!」→個チャ→招待→参加承認という流れが非常に鬱陶しく,参加以前の投稿は見えないので人が集まり切るまで投稿ができないなど,LINEのこの辺の不便さがとても嫌いなんですよね。

また,当時クラスLINEはひんやりしていた一方で一部メンバーからなる雑談グルは毎日わいわいしていたので,クラス全体に雑談の場を設ければもっと仲良くなれるんじゃないかな,というのもあります。

Slackの長所

  • 話題ごとにチャンネルを分かれる
    • 例えば駒場祭の話とオリ合宿の話を同時並行できる
    • クラス内に雑談をする場ができる
  • リアクション機能によってメッセージを流すことなく反応ができる
    • コミュニケーションの活性化
  • 部分集合グループを作るのが楽(上述)
    • パブリックなのでとてもよろしい
  • Botを作るのが楽
    • チャンネル分けによりBotがうるさくても事務連絡が流れない

Slackの短所

  • 導入コスト (「LINEでよくね?」)
  • メッセージが10,000件までしか保存できない
    • 有料プランには学割がありますが,問い合わせたところ大学公認の団体である証明がない我がクラスのワークスペースに学割は適用されないそうです。
  • LINEのスタンプが使えない (と不満な人がいるかもしれない)
  • 既読がつかない

まず,コミュニティ外部の人間との一時的な連絡手段(ex. 授業で一緒になった他のクラスと合同のグループを作る)にSlackは向きません。閉鎖的なコミュニティの中で開放的な部分集合をたくさん作ったり,話題を同時並行で進めたりするのにSlackは向いています。要するにクラスです。
また,ここからは東大特有の話ですが,大学入学時点でSlackを使ったことがある人は少なく,オリエンテーションの時期からSlackを使わせるのは難しいと思います。Wi-Fiが微弱な1号館で,ただでさえ忙しい顔合わせでSlackのインストールとアカウント登録までしてもらうのは厳しいでしょう。この時期下クラとの連絡網は非常に重要なので,やるならしっかりやらなければなりません。おそらくあの場で一番効率的な連絡先収集方法はLINEだと思います。Slackを導入するなら色々落ち着いた後の方が良いでしょう。

チャンネル一覧

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チャンネル一覧

長いですねー。Tree viewにしてほしいとの要望があったのでChrome拡張でも作れば良さそうなんですが,まだ作れていません。

命名規則は,

  • 科目ごとの勉強チャンネル: st-*
  • 雑談チャンネル: z-
  • それ以外: 出来るだけ英数字で始まる適当な名前

英数字から始めるのは,変換不要にすることで入力を楽にするためです。後に日本語が来る分には自動補完で解決できるので。

komabasaiとかorientationとかはどのクラスにもありそうなチャンネルですが,それ以外のチャンネルについては後で詳しく説明していきたいと思います。

基本設定

基本的にデフォルトでOKです。ワークスペース参加時に自動で入るチャンネルがデフォルトではrandomgeneralだけなので,komabasaiとかorientationとかも追加してあげましょう。

また,おやすみモードはデフォルトでオフにしておくことをおすすめします。おやすみモードを知らない人からすれば「通知がこないよ😠」となってしまうし,いざという時に@channelで人が集まらないです。デフォルトでオフにしておいて,おやすみモードを使いたい人は自分で設定しましょう,という運用が良いと私は思います。

カスタム絵文字

Slackの醍醐味ですね。現在117個登録されています。大体の感情表現には困らないです。ほとんどが文字列絵文字で,私の性格を反映してか煽るタイプの絵文字がとても多いです。

ここは絵文字一覧をお見せすべきところなんでしょうが,教員の絵文字とかお見苦しい内輪ネタとかが多くてちょっとね。ご想像にお任せします。

formula: 数式入力

数式は人権なので,/formulaというコマンドで数式を書けるようにします。

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$…$や$$…$$を含む文章を投げるといい感じにしてくれます。

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色々できます。

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技術的な話は別記事に書きました。大した分量ではないけど。

question: チャンネルメンバーにメンション

特定のチャンネルのメンバー全員にメンションするコマンド/questionです。 f:id:pizzacat83:20190302225858p:plain:w300

チャンネルの外から担当者に呼びかける時に使えます。

announcementとannouncement-sub

全体の色々を書いたので,個々のチャンネルの話に移りたいと思います。

announcement

announcementは色々なお知らせが流れるチャンネルです。

宿題リマインダー

これまで手動で/remindしていたんですが,最近Googleカレンダーに移行しています。直前と朝と週の初めに自動でリマインドしてくれるの嬉しいですね。前日にあればもっと嬉しいのだけれど,作れってことですかね。はい。

教務課からのお知らせ

前期教養の学生が定期的に見るよう強要される掲示板がいくつかあって,「教務課からのお知らせ」はログイン不要でアクセスできるので,これの更新情報を流します。RSSがあればいいんですが残念ながらないので,作ります。Feed43というサービスを使うと,お好きなWebページをスクレイピングしてRSSフィードにすることができます。

feed43.com

あとは/feedでsubscribeすればOKです。

ただ,教務課からのお知らせには1年向けと2年向けがあり,違う学年のお知らせは鬱陶しいので排除します。教務課は「1年向け」「2年向け」というページを用意してるんですが,漏れていることが発覚したので自分で1年向けを抽出します。だめじゃん。Feed43にそんな便利機能はないので,IFTTTと組み合わせます。

まず,RSSのitem, link, content欄をそれぞれタイトル,リンク,対象学年を表す画像へのリンクにします。設定済みのRSSフィードこちら

次に,IFTTT PlatformでRSS Feed→SlackのAppletを作ります。IFTTTじゃなくてIFTTT PlatformなのはFilterを差し込むためです。入力項目は適当に埋めましょう。で,contentに書いてある画像へのURLから対象学年を判断するFilterを書きます。抽出がへたくそでいろんなゴミがくっついてきたときのために,完全一致ではなく部分一致でやります。あと仕様が変わったときに,間違って投稿されることはあっても間違ってスキップされないようなコードを心がけます。

おしまい。

announcement-sub

announcement-subは諸施設のTwitterなど,広報の中に大事な情報が混じってるものを流すところです。重要そうなものは私が手動でannouncementに貼ります。全員参加のチャンネルではありません。現在は図書館と学生自治会TwitterがIFTTTによって流れます。また,ログイン必要なUTASの掲示一覧も流れるようにしようとしたんですが,未だにバグらせていて悲しいです。

slack意見箱

これは改善の要望を書くところです。改善といっても「この絵文字作って」レベルのものから色々あります。

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近いうちにやると決めたことは✋で,進行中は✍️で,終わったことは✔️でリアクションします。has::emoji:で検索すると各段階のタスクの一覧が出るので便利。他のワークスペースでも使ってる簡易なタスク管理方法です。複数人でやるときはassignされた人のアイコンもリアクションしておくと良さそうです。

匿名でも投稿できるようにGoogleフォームを置いてます。送信すると自動でSlackに投稿されます。たった7行です。

drive-log

クラスのGoogleドライブフォルダがあるんですが,そこのファイル更新履歴を流します。技術的な話は別記事にします。

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seashore

私が所属するサークルTSGのSlackには #sandbox というチャンネルがあって,24時間以上経過したメッセージが自動で削除されます。ピン留めされたものは削除されません。各種botを試すのに使ったり,bot開発時に試しに投稿を流したりするのに使います。ちなみに #seashore という名前は砂浜に描いた文字が定期的に波でかき消される様子から来ています。

slackbotレスポンス

ワークスペースにデフォルトでいる@USLACKBOTことslackbotは,開発不要で「Aと言われたらBと返す」機能があります。同じAに複数のBを登録するとランダムで返すので,ガチャが作れます。

  • サイコロ:「サイコロ」って言うと1〜6が出る
  • ルーレット:「ルーレット」って言うと0〜9が出る
  • 評定ガチャ:「評定ガチャ」って言うと不可〜優上が出る
  • 逆評定ガチャ:「逆評定ガチャ」って言うと大鬼〜大仏が出る
  • 必修ガチャ:「必修ガチャ」って言うと必修科目がランダムで出る
  • 絵文字ガチャ:カスタム絵文字がランダムで出る

また,「一日一独作文」と言うとドイツ語の和文独訳問題の和文が出るガチャも作ったんですが,教科書の進度に合わせて手動で追加するのが面倒で最初の方の問題しか出ません。こんな使い方もできます。

本日のユータスくん

前期課程のWebサイトには 本日のユータスくんというコーナーがあります。おそらく毎日欠かさず「教務課からのお知らせ」を見に行かせるためのモチベーションなんでしょうが,#announcement のおかげで見る機会がなくなってしまったので,自動で #seashore に投稿されるようにしています。実装は適当にスクレイピングするだけです。

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あとがき

Slackはbotの開発にはうってつけです。みんなもSlackのbotを作ろう。

UTAUの周波数表ファイルをPythonで読む

UTAU音源にくっついてくる.frqファイルのデータをPythonで読むコードです。

.frqのフォーマットが書かれたツイートを見つけたので,それをそのまま実装しました。形式が解析済みって嬉しいですよね。これが無かったら労力が桁違い。

何となく分かるものについて各データの説明をすると,

  • key_frequency: 平均のピッチ的なもの(恐らく外れ値は除外されているだろう)175くらいだったらF3かなーとか分かる
  • datacount: frequencyおよびamplitudeの配列の長さ
  • frequency: 周波数

あとはよくわかりません。

structモジュールの仕様でchar[]は文字列ではなくバイト列として返ってくるので,必要に応じてdecodeしてください。

Wikipediaの他言語の記事名を得るPythonスクリプト

最近「あれ,この用語英語でなんていうんだ…?」(専門用語なので和英辞書は望み薄)という状況が何回かあって,その度にWikipediaの記事を見つけて英語版のタイトルを見る,とかやってたんですが,めんどくさいのでシュッとできるようにしました。

こんなツール絶対既出だと思ったんですけど軽くググっても出ないので自分で書きました。APIのドキュメント読んで適切なクエリを投げておしまい。WikipediaAPIを扱えるパッケージは存在しますが,普段venvでいろんな環境を飛び回っていることを考えて標準ライブラリでやります。

これを適当なところに置いて,chmodして,パス通して,alias wikipedica=wikipedica.pyしたらなんかそれっぽくなります。

$ wikipedica 百科事典
Encyclopedia

多言語対応。

$ wikipedica 百科事典 ja de
Enzyklopädie

なお例外処理は放棄しました。読めばわかるじゃん。

エディタ画面から離れることなく辞書を引けるのはとても嬉しいですね。英語力の低さをひしひしと感じます。それでは。

語彙力ゲーム「弓箭」であそぶ

この記事はTSG Advent Calendar 2018の12日目として書かれたものです。昨日はmoratorium08さんによる「 TSG live AI コンテストの内容と感想、盤面生成に関する妄想など」でした。

さてお久しぶりです、pizzacat83です。今年からTSGというサークルに入りまして,Advent Calendarになんか書こうということで本当はクラスで使ってるSlackのお話をするつもりだったんですが,その記事を半分くらい書いたところでこのゲームを思いついたのでこっちのお話をします。TSGはコミュニケーションツールとしてSlackを使っているのですが,そこで語彙力で戦うゲーム「弓箭」を遊べるbotを作りました。

弓箭とは

お題の単語に対して“近い”単語を回答すると,その単語とお題の類似度と,その単語のレア度(コーパス中の出現頻度の低さ)に応じた点数をもらえるゲームです。つまり,お題に似ていて,かつあまり使われない単語を答えた人の勝ちです。

ゲームの名前「弓箭(きゅうせん)」は弓矢,弓矢を扱う武士,弓矢を用いた戦いなどを意味する単語*1です。「戦い」を意味する単語で語彙力が高そうなやつ,といういかにも語彙力のなさそうな理由で名付けました。英語表記はとりあえずvocabwarにしていますが,Blitzkrieg*2とかにしようかな。

ちなみにこれは私がオリジナルで考えたゲームではなくて,英単語についてほとんど同じルール(ただし類似度とレア度ではなく類似度と解答スピードを評価)のゲームがあるんですが,ググり力がなくて見つかりませんでした。黒い背景に水色の文字みたいな見た目だったと思うんですが,有識者教えてください。

ゲームの様子

Slackに「弓箭」と書き込むと,お題の単語を10個提案してくれます。単語を一つ選ぶと回答を書き込むフェーズに入ります。

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弓箭スタート

お題選ぶ必要なくない?という指摘があったので,「即弓箭」と書き込むと提案なしでランダムにお題が決まるようになっています。運が悪いと知らない単語が出てきてたほいやになります。

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わからない

ちなみに形容詞・形容動詞・副詞のみが出題されるようになっています。というのも,名詞は類義語が作りづらいことがありそうなのと,たほいやが名詞ばっかりなのでそちらに一任したいという気持ちがあります。あと日本語は細かいニュアンスを動詞の違いではなく修飾語によって表現することが多い(ex. glimpse「ちらりと見る」 stare「じっと見る」) (接頭語もあるけど)というのもあります。

回答を書き込みます。未知語は弾かれます。(私が👍しているように見えるのはbotトークンを使っていないからです)

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弓箭で遊ぶ人々

30秒経過すると結果発表です。参加人数の2倍のダミーを混ぜて,類似度が高い順に上位1/3が正の得点を得ます。

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結果発表

元がスピード勝負のゲームだったのでこちらも時間を厳しく設定しているのですが,得点が期待できる単語を考えている間に結果発表されてしまうこともしばしば。難しい単語を考えるとなるともう少し長めにした方がいいかもしれませんね。

ちなみにダミーはレア度の高い単語が多めに出るようにしていて,結果発表にコトバンクから取ってきた単語の意味も記載しているので,結果発表の後はダミーを眺めて次の戦いに備え語彙力を高めることができます。たほいやのダミー選択肢を覚えてるこわい人多いし,弓箭のダミー単語もどんどん覚えられていくんじゃないですかね。

実装

たほいやは博多市さんが一晩で作ったらしいですが,私は強くないので弓箭をn晩かけて作りました。全体的にたほいやに似ているので,大枠のコードはほとんど一緒です。弓箭の本質は類似度とレア度なので,その辺の話を軽く。

類似度はword2vecを使っているんですが,分かち書きされたコーパスが必要なのでWikipedia全文データを取ってきて分かち書きをします。で,このときついでに単語の出現回数を数えます。Wikipediaの全文データはXMLになっているので、wp2txtでプレーンテキストにしてあげます。

$ sudo gem install wp2txt
$ wp2txt --input-file ./jawiki-latest-pages-articles.xml

まあこれ以外にも同様のツール色々あるので探してください。

んでこれを分かち書きしつつ単語の出現頻度を見ます。TSGのslackbotはNode.jsで動いていて,tashibotという別のbotがkuromoji.jsを使っていたので私も使ってみたんですが,なんせ巨大ファイルを入出力するので(おそらく出力の仕方が下手で)メモリをバカ食いして死にました。よく考えたらNode.jsやkuromoji.jsでやる必要がないことに気づいたのでPythonで適当に書きます。こっちは常識的なメモリを食べていました。

これで分かち書きされたコーパスとレア度(出現頻度の逆数の常用対数)を得られました。さてword2vecしようということですが,Node.jsからword2vecできるパッケージが存在します。

www.npmjs.com

ということで早速学習させてみたんですが今度はCPUとメモリをバカ食いして死にました。小さなコーパスでやってみたら学習結果の出力形式が単語 0.000000 0.000000 ...という感じの分かりやすいテキストファイルになっていて,よく考えたらNode.jsでやる必要がないことに気づいたのでPythonで適当に書きます。gensimは良い子なのでメモリは500MBくらい,2時間ほどで学習終わったかな。

from gensim.models import word2vec
data = word2vec.Text8Corpus("corpus/wiki_wakachi.txt")
model = word2vec.Word2Vec(data, size=300)
model.save("corpus/wiki_wakati.model") # モデルの保存
model.wv.save_word2vec_format("corpus/wiki.wv.txt") # node.jsでも読める単語ベクトル一覧のテキストファイル

Node.jsで読めるように出力関数を自分で書こうとしたらgensimが用意してくれてました。本当に良い子。ただテキストファイルで単語ベクトル一覧を保存する場合,拡張子は.txtにすべきです。それ以外だとNode.jsのword2vecパッケージがバイナリとして解釈してよくわからん感じになります(これにn時間溶かした)。ただ中身を見る必要がないならファイルサイズも小さくなるしバイナリにした方が良いと思います。この場合は最下行が次のようになります。

model.wv.save_word2vec_format("corpus/wiki.wv.txt", binary=True)

これでレア度と類似度を求めることができます。

ちなみに「ゲームの様子」で書いた通りダミーはレア度の高い単語が多めに出るようになっています。要するに重み付き乱択です。重み付き乱択って色々アルゴリズムがあって見るたびに賢いなーっていつも思います。私は走査1回で済ませるやつと前処理して二分探索するやつが好きです。が,今回は重み付き非復元抽出なのと前処理をする気にならない(ただでさえメモリ食べてるので…)のとで,愚直に「重みなしで1つ抽出してレア度に応じた確率で棄却する」という方針でやっています。数学的に確かめてないんですけどこれで重みに応じて選択されるんですかね。

ちなみに高得点を得るコツが分かってくると,人間の尺度ではなくword2vecの尺度で「近い」単語を考えるようになります。弓箭を極めて歩くword2vecになろう。

今後

現状では得点が保存されないんですが実装した方がいいですかね。それからさらなる語彙力の向上のために,結果発表に模範解答(類似度そこそこ高く,レア度が高い)を含めようかなとか思ってます。まあこれは賛否両論かもしれませんが。

あとWikipediaの語彙力だけでは少し物足りないので青空文庫も学習させようと思ってるんですが,gensimで追加学習しようとすると怒られます。

model.train(corpus_file="corpus/aozora/wakachi.txt", epochs=model.epochs, total_examples=12345, total_words=1234567)
---------------------------------------------------------------------------
ModuleNotFoundError                       Traceback (most recent call last)
(中略)
*/venv/lib/python3.7/site-packages/gensim/models/base_any2vec.py in _train_epoch_corpusfile(self, corpus_file, cur_epoch, total_examples, total_words, **kwargs)
    403             raise ValueError("total_words must be provided alongside corpus_file argument.")
    404 
--> 405         from gensim.models.word2vec_corpusfile import CythonVocab
    406         from gensim.models.fasttext import FastText
    407         cython_vocab = CythonVocab(self.wv, hs=self.hs, fasttext=isinstance(self, FastText))

ModuleNotFoundError: No module named 'gensim.models.word2vec_corpusfile'

古いバージョン使ったら行けたりするんですかね。有識者教えてください。最初から学習し直すのも一手か。

あとはそもそも日本語ってあんまり弓箭向いてないんですよね。外来語の取り込み方が上手なので,類義語が簡単に思いついてしまってあんまり面白くないです(編集距離で加点しようかな)。英語とかだといろんな言語からの借用語が統合されないので類義語の綴りが全然違っていて,もう少し楽しくなるんですけどね。ただ「英語版弓箭」は最初の方に書いた通り弓箭の元ネタとして既存(名前を忘れたけど)なので,どうせやるなら情報科学の論文のみをコーパスとする弓箭とか面白いんじゃないですかね。実用的だし。

ということで,TSG Advent Calendar 2018 12日目でした。明日はfiordさんによる「TSG LIVE2!の感想・反省等を適当に書いたポエム - アルゴリズマーの備忘録」です。

*1:ちなみに「弓箭」と「戦争」「戦い」の類似度はそんなに高くなくて、「弓矢」との類似度はとても高いです。弓矢の意味で使われてることがほとんどということですね

*2:電撃戦のこと。ドイツ語より。

Pythonの複合文をインデントせずに書く

この前p3+q3+r3=s3 (p, q, r, sは自然数)の解って(3, 4, 5, 6)の立法数倍以外にあるのかなーと思ってpaiza_runしてみたところ、

エラーが途中までしか見えませんがSyntaxErrorになりました。悲しい。

インデントのない複合文

複合文っていうのは要するにifとかforとかwithとかの、 :の後に文を書くアレです。とりあえずifで説明をします。

ifっていうと大抵こんな感じですよね。

if flag:
    hoge()

条件と:のあと改行・インデントして処理を書きます。これは、以下のように書くことと同等です。

if flag: hoge()

インデントをすると文字数が爆発するので、paiza_runとかではこのようにしてインデントを回避できると便利です。

ちなみに、

if flag: hoge(); fuga(); piyo()

これは、以下のコードと同等です。

if flag:
    hoge()
    fuga()
    piyo()

直感的といえば直感的なんですが、C/C++とは違うので注意が必要かもしれません。

ネストがしたい

そういえば私はp3+q3+r3=s3 (p, q, r, sは自然数)の解を探し求めているのでした。頭を全く使いたくないので愚直に(p, q, r, s)を4重ループで回します。

インデントをしたくないのでこう書きたくなります。

r=range(1,10)
for w in r:for x in r:for y in r:for z in r:if w**3+x**3+y**3==z**3:print(w,x,y,z)

しかしこれは冒頭で述べたようにSyntaxErrorになります。リファレンスを見てみましょう。

8. 複合文 (compound statement) — Python 3.6.1 ドキュメント

スイートは、ヘッダのコロンの後ろにセミコロンで区切られた一つまたはそれ以上の単純文を並べるか、ヘッダ行後のインデントされた文の集まりです。後者の形式のスイートに限り、ネストされた複合文を入れることができます ; 以下の文は、 else 節がどの if 節に属するかがはっきりしないという理由から不正になります :
if test1: if test2: print(x)

じゃあwithとかなら良いのかっていうとこれもSyntaxErrorになります。複合文はインデントしないとネストできないのです。大人しくインデントしましょう。

それでも僕はインデントをしたくない

残念ながらTwitterは140字の制限があるのです。インデントなんかしてたらpaiza_runに投げられないのです。そこで登場するのがリスト内包表記。

リスト内包表記を使うと4重ループとifをワンライナーできます。join()とかで適当に整形すれば最初にやろうとしていた出力と同じ出力を得ることもできますが、それをやるには140字は少なすぎる。リスト内包表記はいいぞ。

余談

13+63+83=93という結構小さい解が普通にあって意外でした。ところで連続する3立方数の和が立方数になるのは、33+43+53=63の場合以外にあるのでしょうか。数学のプロ教えてください。

2016年度文化祭展示作品「文豪チャット」公開

今年度も文化祭の作品として、さくらミケ氏と合作でプログラムを作成しました。UIはA.js(仮名)氏が作ってくれました。

どんなプログラムかざっくり言うと、
「文豪風に喋る会話プログラム」
です。会話の相手は夏目漱石太宰治など、また文豪以外にも猫とかエヴァとかあります。

Vectorにて配布中! 是非お楽しみくださいませ。
文豪チャットの詳細情報 : Vector ソフトを探す!

操作説明は以下のさくらミケ氏のブログにあるので、私のブログにおいては割愛させていただきます。
2017年文化祭展示作品 文豪チャット|猫もあきれるプログラミング日記

ソースコードはこちらから。
GitHub - sakurakitten/Bungo-chat: 文豪チャット( http://www.vector.co.jp/soft/winnt/amuse/se515415.html )のソースなどです. 必要なデータファイルはこちら(https://github.com/sakurakitten/Bungo-chat-data )

バグ報告はこの記事のコメント欄でもGitHubのIssueでも何でも良いですが、作者から返信が来ていないかたまにチェックしていただけるとありがたいです。(その点ではGitHubのIssueが一番ですね)
既知の不具合については、GitHub以外で報告されたものも気付き次第Issueを立てておくので、バグ報告する前に同じバグ報告がされていないかチェックしていただけると助かります。

さて、この記事では、会話の応答文の生成に用いられている手法などについて書いていきます。なお、分担して制作したプログラムのうち、さくらミケ氏担当の部分については、この記事では割愛させていただきます。

目次

コンセプト

目指したもの
りんな

目指してないもの
iOS - Siri - Apple

両方とも人間の発話に応答するプログラムですが、私にとってのりんなとSiriの違いを的確に表す画像がこちらです。

要するに、今回のプログラムでは、「道案内」や「Webで検索しました」などの便利機能はなしで、単に会話の相手を務めることを目指しています。

最初は「コミュ障カメレオン」というオリジナルキャラクターの会話AIを作るみたいな流れだったんですが、日本語の文章を大量に入手する手段として青空文庫を紹介したのがきっかけで、文豪の会話AIを作ることになりました。

各種制約

「文化祭作品」としての制約

  • インターネット環境なし
  • Visual C++ 2008
  • Windows XP/Vista/7 で動作
  • あんまり自由に色々インストールできない雰囲気

自ら設定した制約

  • 異なる文豪のAIが同じように会話すると面白くない
  • その文豪「らしさ」が失われないようにすべき
  • 文豪の著書以外の文章はなるべく使用しない

制作当時、学校のパソコンに入っているIDEVC++ 2008だったことで、あれがないこれがないとグチグチ言っていたのですが、どうやらstd::tr1というところに色々入っているらしい、というのを最近知りました(かなしい)。
後半の制約は「文豪の会話AI」というコンセプトを選択した結果生じたものですが、特に「文豪の著書以外の文章はなるべく使用しない」が最も厳しい制約だったように思います。

会話文生成プログラム

マルコフ連鎖による文生成

文生成の手法としてマルコフ連鎖というものが有名らしい、ということで実装してみました。

この手法では、ある単語についてその次に来うる単語のリストを作成しておき、文生成の時には、ある単語に対して次に来うる単語を適当に選び、さらにその単語に対して次に来うる単語を…、ということを繰り返して文を生成します。

たとえば、「きのこの山は好き。だけどたけのこの里はそこまで好きじゃない。」*1という文章に対して、前後の単語のつながりを表にすると、

きのこ
山, 里
好き, そこまで
好き 。, じゃ
だけど
だけど たけのこ
たけのこ
じゃ ない
ない

ここから単語を適当に辿って新たな文を作ります。たとえば、「たけのこ」から始めると、

「たけのこ」→「の」→「山」→「は」→「好き」→「。」

なんてのが作れます。元の文章にはない文ができました。

この例では一つ前の単語から次の単語を決めていますが、実際のプログラムでは、一つ前の単語と二つ前の単語が一致する単語のリストから単語を選んでいます。

さて、これをどう会話に組み込むかについて、最初は相手の発言に含まれる単語の一つを文を生成するようにしたのですが、全然会話になりませんでした。ボツにすることも考えたのですが、それももったいないので、相手が寡黙な時に自分から話を始めるために、これを用いて適当な文を生成しています。今思うと、「相手の発言に含まれる単語の一つを含む文」という条件は会話には緩すぎるので、相手の会話に含まれる単語やその関連語の出現確率を上げるとかするともっと良くなるかもしれないです。

この手法による文生成は、文法的には不自然でない文を作りやすいですが、文が長くなるにつれて前後で内容のつながりがなくなり、意味的にはさっぱりわからない文ができることが多いです。短い文が出るまで繰り返すみたいなことをやると改善するかもしれません。また、地の文を基にして文を生成しているため、会話として不自然になりがちなので、会話文のみを基にするのが良い気がします。

返答リストから乱択

何かの参考になるかなと自分のLINEのトーク履歴を眺めていたところ、9割くらい「へえ」「そう」「はあ」「ほー」「なるほど」「はい」のような当たり障りのない相槌*2で会話していることに気がつきました。LINEみたいな短文でのやりとりでは、相槌は結構役に立つ気がしたので、これを取り入れてみようと思いました。

ただ、確率で「へえ」とか「なるほど」とか言うという作りでは、「文豪らしい会話を!」とかいう制約に引っかかるので、著書から相槌を抽出して、それを使うようにしています。その抽出方法とは、

手動

手動です手動。文章から「」『』で囲まれた文を取り出して、その中から相槌に使えそうなものを人手で集めました。感動詞のみからなる文を抽出するとか、短い/単語数が少ない文を抽出するとかで自動化もできたかもしれませんし、学習的なことをさせても良かったのですが、そんなことを考えるよりも手動でやった方が早い気がしました。こういう人がいるから神エクセルが無くならないのでしょう。

ただこれが結構上手く行くんですよね。当たり障りのない返事ばかりなので。

ついでに、質問に対し適当に答えるものも作りました。たとえば「誰」が含まれる発言に対し、「妻がその人の名をいいましたか」(夏目漱石)といったような応答が用意されています。また、質問をはぐらかす、「今日は駄目です」(夏目漱石)のような応答もあります。特に「いつ」については、答えの中の日時にあたる部分を適当な日時に置き換えることでちょっとバラエティを出す、という小細工が仕組まれています。

ちなみにこれは黒歴史なんですが、公開当時は「君の名は。」という映画が流行していた*3もので、「君の名は。」と質問すると「名前はまだ無い。」(夏目漱石)とか「如何にも自分は隴西の李徴である」(中島敦)とか答えるようになっています。「名前はなんですか」みたいな尋ね方でも同様に返答できます。

この手法は、作業さえ頑張ればそこそこのクオリティになるので、割とおすすめです。作業さえ。

まとめ

会話プログラムを作るのはとっても楽しいです。今後も開発を続ける気満々です。時間があればTwitter botにしてみるとか、新たな手法を追加するとかやってみたいと思っています。ソースも公開されているので、いじってみたい方は是非フォークして遊んでください!(再利用しやすいコードかというと……うーん………)

*1:この文章に戦争を起こす意図はありません。似た構造の2文が欲しかっただけです。もっと中立な例文募集中

*2:当たり障りのないとは書いていますが、自分の中では話題に対する興味とか話の流れとかで厳格に使い分けています

*3:でも名前を答える機能自体については「君の名は。」の前から考えていたんですよ!!証拠のメール(4月29日付)もありますっ!!!(必死)

はじめに

はじめまして、ぴざきゃっと(@pizzacat83)と申します。

このブログについて

このブログでは主にプログラミングについて書いていくつもりです。初心者なのでおかしなことを書くかもしれません。コメント等でご指摘いただけると嬉しいです。

このブログのタイトルは「null部の部誌」ですが、これは架空の組織であり、仮にそんな部活が実在していたとしてもこのブログとは無関係です。
かといって、何らかの実在の部活の部誌でもないです。非公式の部誌でもありません。単なる個人のブログです。
要するに、タイトルに深い意味は何らありません。

また、このブログに書かれた内容は、ソースコードを含めて、すべて無保証です。このブログに書かれていることを実行することなどは、自己責任でお願いします。